小学生の頃、天気予報の代わりに使っていた笠置の雲海。
11月になり笠置山のもみじが少しずつ紅葉を始める頃、夜明けから日によっては8時頃まで雲海が楽しめます。
笠置の雲海は笠置山よりも東方、有市地区や東部地区、飛鳥路地区の木津川上で発生し一面覆い、やがてゆっくりと笠置山の北を西方向へと流れていきます。
笠置町は中央部を東西に木津川が流れています。気温と水温の差で川霧が立ち、水分が補給されます。
木津川の南北は山で囲まれ、特に笠置山東方は周りが山で囲まれたボウル状で、雲がとどまります。
風が吹くと雲は流れてしまいますが、11月からの時期は風も穏やかであり、発生した水蒸気は霧散することなくとどまり、雲へと成長します。
笠置は雲海発生の要素が整いやすく、反対に暖かな朝や雨、風の強い日には発生しません。
また、真冬になると水蒸気が霜となり、この頃には発生しにくくなります。
笠置の雲海は、おおよそですが標高150m付近で発生することが多く、笠置山の中腹あたりの高さとなり、眺望ポイントは、行場巡りでは「ゆるぎ石」「平等石」「二の丸跡」からは東方を、「貝吹き石」からは西方を眺めることができます。
「ゆるぎ石」には手すりも設置されて安全に眺めることができます。
しかし、足場が狭く注意は必要ですが、最も眺めが良いのは「平等石」です。
しかし、どちらも通常の行場巡りでは真ん中付近となり、階段も多いため、比較的に楽なのは行場を逆走した先の「二の丸跡」となります。
自然が相手となりますので「必ずご覧いただけます」とは確約できませんが、ご覧いただけた時には、しばしの「仙人気分」を満喫してください。
笠置寺 住職 小林慶昭